発達障がい児支援
今日は、①浜松市発達医療総合福祉センター「はままつ友愛のさと」と、②浜松市立赤佐小学校の「発達支援学級」を視察しました。
いくつかの学校や授産施設には行ったことがあるのですが、議員になってからは今日が初めてでした。「発達障がい」を持つ子どもたちへの行政支援について、現場の声や課題を聞きました。
*「発達障がい」の言葉の意味については、検索サイトで入力すれば「ウィキペディア」などで調べられますので、そちらを見ていただければと思います。
*なお私は「障害」を「障がい」と書いています。理由はご高察ください。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
①「はままつ友愛のさと」では、センター長の山崎医師から、現状と課題の説明を受けました。
○「友愛のさと」は、浜松市が設置し、社会福祉法人浜松市社会福祉事業団が指定管理者として運営している施設です。心身障がい児に「医療」と「福祉」サービスを提供しています(HPはこちら)。
○医療については、受診患者数は、月間で約900人。年間で約2500人います。
・発達障がい児の有病率は人口の約5%と言われており、浜松市の出生数から計算すると、年間350人以上の発達障がい児が生まれていることになります。
・しかし施設や医師の不足により、待機期間が3~4ヵ月もあるそうです。
・現在、家族からの直接の申し込みは受けておらず、学校や保健所からの申し込みのみ受け付けているとのことです。
○福祉サービスは、「児童デイサービス“ひまわり”(定員40人)」の他、4つの授産施設が併設されています(色区分参照)。
・“ひまわり”では、発達障がいを持つ就学前の幼児を対象に子どもの発達支援と保護者への養育支援を行っています。
・保育士は幼児7人あたり2人。自力移動ができるかどうかで2つのグループに分けて療育しているとのことです。
・浜松市内には “ひまわり”の他、自力移動ができる子は“根洗学園”で、できない子は“聖隷おおぞら療育センター”で受け入れているそうです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
○課題
・医師不足の影響はここにも出ており、現在、常勤の小児科医が不在とのことでした。
・待機期間(診察待ち)が3~4ヵ月というのは大きな課題です。不安な保護者のお気持ちを考えると、早急な対応が必要です。
・福祉サービスにおいても、出生数が年間350人ということは、入学前の幼児だけで2000人以上いることになります。上記の施設だけでは、受入はまったく不十分です。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
②浜松市立赤佐小学校では、「発達支援教育」について、校長、教育委員会から現状を聞きました。「発達支援教育」については、この概念図がわかりやすいと思います。
○重度障がい児は、「特別支援学校(昨年まで“養護学校”)」に進むことになります。
○「特別支援学校」に通わない子どものために、浜松市には「発達支援学級」があります。
・市内には、小学校73、中学校30の学級があり、「知的障がい」「情緒障がい」「難聴」「弱視」「肢体不自由児」「病弱」の5種類に分かれています。103学級の大半は「知的」と「情緒」です。
○さらに「通級指導教室」があります。
・これは「言語障がい」や「LD・ADHD」など、特別な配慮が必要な子どもに対し、一般のクラスに在籍しながら「通級」し、必要に応じて支援を行うもので、11小学校、1中学校に設置されています。
○訪問した赤佐小学校には、「知的発達支援学級」、「肢体発達支援学級」、「LD・ADHD等 通級指導教室」が設置されていました。
・「発達支援学級」は普段少人数で授業を受けますが、「通常学級」の子どもとの交流や共同学習により、自立支援を進めています。
・「通級指導教室」には、他校の通常学級からも通っており、専門知識を有する教師が、在籍校や保護者に対し、情報提供や相談を行うそうです。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
○2ヵ所の視察をとおして感じたことは、「医療」「福祉」「教育」の連携が必要だということです。タテ割り行政の弊害をなくそうと、昨年度から「こども家庭部」が設置されましたが、この機能の拡充が必要ですね。
○「障がいを持つ子どもたちを温かく育て、保護者のみなさんにも安心していただける市政」、これも「こども第一主義」の重要な部分です。
○おまけ・・・給食で「ソフト麺」をいただきました。浜北区は“給食センター”で作って各校に配送しているのですが、ミートソースも温かく、美味しかったですヨ。
○発達障がい児支援を含め、浜松市の子育て支援にかかる施策は「ぴっぴ」というサイトに詳しい記載があります。とても参考になるサイトです。みなさんもぜひご覧ください。
| 固定リンク
「D医療・福祉・子育て支援」カテゴリの記事
- 子ども手当(2/22)(2011.02.22)
- イベントの秋(11/8)(2010.11.08)
- ふれあい広場 in ガーデンパーク(11/3)(2010.11.03)
- 敬老祝賀会(9/20)(2010.09.20)
「E教育・文化」カテゴリの記事
- 将棋名人戦in浜松(2/4)(2011.02.04)
- 金銀装円頭大刀(1/13)(2011.01.13)
- 流通元町図書館(1/6)(2011.01.06)
- 音楽の都の基盤づくり(11/16)(2010.11.16)
「11.視察・研修・活動報告」カテゴリの記事
- 慶應議連研修会(2018.11.12)
- 多様な働き方推進特別委員会(2018.09.03)
- 東南アジア視察レポート(2018.08.11)
- ジャカルタ再訪(2018.08.03)
- ヤンゴン再訪(2018.08.01)
コメント
秋山@行革審&アルモニコスです。
発達障がい児の支援についての課題が田口さんのブログで見えてきたように思います。
★ひと・もの・かね・・全部足りないってことですよね。
これに対する市の予算(金)と関係する医師、教員を含む人員ってどれくらい、今いるのでしょうか。また本当はどれくらい要るのでしょうか。
★もう一つの注目は有病率5%という現実です。
世界や日本の他の地域とくらべ、多いのでしょうか。個人的な感想としては、多すぎると思っています。ということは、発想を換えると、「その原因を追究しなくては・・」ということになります。
★女性の喫煙が原因では・・
と少し前に思ったことがあります。普段吸っている人が、ストレスの多い妊娠中に止められるとは思わないので、喫煙習慣を無くすことが、障がい児を減らすことに繋がるのでは・・と思っています。科学的根拠もないし、どうすればそれをキャンペーンにできるかもわからなかったので、ずっと頭の中にありました。
田口さん、もしご存知でしたら教えて下さい。
投稿: 秋山雅弘 | 2008年4月22日 (火) 18時56分
私は九州から浜松市に転勤してきました。発達障害を持つ小学生の息子の父親です。
転勤で最も悩んだのは息子の転校の件でした。
事前に教育委員会とコンタクトをとり、息子の状況を説明した上で最も良い選択肢として今の小学校を紹介されました。
しかし現状は最悪です。
浜松市は発達支援の教育は進んでいると皆が言います。
しかし現場での状況は最悪といっても言いすぎではないと思います。
学校によって良い環境、悪い環境の差はあると思いますが、悪い環境の学校の現状をまったく把握していないと思います。
学校の先生の中には障害のある子供を馬鹿だと思っている人もいます。それは仕方のないことだと思います。
確かに健常な子供たちと比べると体力的な面や知的な面で大きな差はあります。
しかし障害があってもなくても感情や心の部分には全く差はないのです。
その当たり前な事実を理解できていない教師たちが健常な子供たちに未来を教えています。
嫌な事を言われても言い返せない子供は少しぐらい言われてもなんとも思っていないと感じている教師が大勢います。
イジメる側はイジメと感じていなくてもイジメられている側は死ぬほど辛い…
そんな当たり前のことを理解せずに発達支援学級の子供たちにひどい仕打ちをしている学校があります。
発達支援学級の担任を馬鹿にしている教師もいます。
しかも親や生徒たちの前であからさまに態度に出して接しています。
普通学級の生徒たちはその教師の態度を真似ています。
大人がそんな態度を見せれば子供たちはすぐに真似をします。
そんなことが今の教育現場では起きているのに、浜松の教育現場はすばらしいの一言で片付けられています。
障害のある子供たちの存在は大きな意味があると思います。
九州の学校では生徒一人ひとりが誰に言われることもなく、誰かの弱い部分を補うという考えを自然に持つようになっていました。それは発達支援学級の子供たちは普通学級の子供たちと一緒に過ごす時間が長かったからです。
しかし今通っている学校は給食も帰りの会も下校もすべて別々です。
普通学級の子供たちは一緒に過ごす時間がほとんど無いので障害のある子供たちに違和感を感じた目で見ています。
息子が遠足に行く際も班行動をするために一緒に過ごす時間を増やして顔と名前を覚えさせてほしいとお願いしたら、顔写真に番号を書いた一覧と名前を渡されて「これで覚えろ」と言われました。
一緒に過ごす時間を作るプロセスは今は予定は無いから難しいと言われてしまいました。
子供に友達の名前を写真で覚えさせるのが正しい教育ですか?一緒に過ごし遊ぶ時間よりも算数が大事なんでしょうか?
塾よりも学校が優れているもは人間関係や人を思いやる気持ちを育てることができる場所だからじゃないでしょうか。
健常な子供たちが、障害のある子供たちのできない部分や弱い部分を、自分たちが生活や遊びの中で見つけ、感じて、自然に手を差し伸べるようになることができれば学校にとっても生徒たちの成長にとっても大きな意味を持つようになるのではないでしょうか。
しかし今は腫れ物に触るような扱いを教師はしています。生徒たちも同じです。
学校が掲げる校訓には「豊かな思いやり」「教師たちの人間関係力」「思いやる気持ち」などの言葉があります。
できる子供はすばらしいが、できない子供はダメだという現状と、掲げる校訓に差がありすぎて泣いている子供も家族も沢山います。
今は一日も早い転校を考えていますが、どこに行っても浜松の環境は同じなのでしょうか・・・
投稿: 九州の父 | 2008年5月 1日 (木) 01時15分
九州の父様、はじめまして。私はある小学校の発達支援クラスで支援員をさせていただいています。
うなずきながら、読ませていただきました。
完璧な学校なんてありません。でも息子さんのことを思うなら行動にでてもいいとおもいます。
納得できる学校に出会えるまで、見学をして確かめることもできます。息子さんの今通っている学校がどこかは知りませんが、ひどい状況ですね。私の勤務する学校はそんなことはありません。普通学級にも籍をおき、交流をもって活動もしています。
なかでも校長先生、教頭先生、教務主任、養護の先生等、学校の中心になる先生方が私たち支援員の声をよく聞いてくださり、対応も早いです。
ひとりひとりの子どもを大切に考えていることを感じます。
そういう学校もあります。
たくさん足を運んでみてください。
息子さんが楽しい学校生活をおくれるようになることを願っています。
投稿: 支援員 | 2008年6月 2日 (月) 23時49分
支援員さん、コメントありがとうございます。
温かいお気持ちは、きっと「九州の父」さんにも伝わると思います。
さて、平成20年度版「はままつの教育」の中で、“教育の重点”としてあげられている項目のひとつに「発達支援教育は学校教育の根幹」というのがあります。
本当に、すべての教師の皆さんが、そういう意識になれば、「九州の父」さんのようなケースはなくなるのかな・・・と思います。
☆市教委のHP「平成20年度版はままつの教育」
http://www.city.hamamatsu-szo.ed.jp/shikyoi/4ask/hamakyo/hamakyoH20.pdf
投稿: 田口 章 | 2008年6月 3日 (火) 22時23分