第三セクター清算(5/19)
これまでに何度か書きましたが、今回の課題は「第三セクター清算」手法の合理性です。
3/12の環境経済委員会に出された「フォルテの資産売却、清算計画(案)」は次のとおりです。
これが合理的だとすれば、市が約14億円の債権放棄をすることにより、フォルテの清算は進められます。
項 目 |
金額(千円) |
摘 要 |
備考 | ||||
浜松市 |
収入 |
1,700,000 |
|||||
土地売却 |
1,250,000 |
不動産鑑定評価額(底地) |
|||||
清算分配金 |
450,000 |
未確定 |
|||||
収支 |
1,700,000 |
||||||
浜松都市開発㈱ |
収入 |
2,340,000 |
A | ||||
建物売却 |
2,340,000 |
不動産鑑定評価額(借地権付建物) |
|||||
支出 |
3,748,216 |
||||||
債務返済 |
2,748,216 |
B | |||||
借入金 |
365,300 |
金融機関 |
|||||
保証金 |
1,057,827 |
||||||
民間テナント |
51,811 |
||||||
浜松市 |
1,006,016 |
||||||
敷金 |
521,371 |
||||||
民間テナント |
119,171 |
||||||
浜松市 |
402,200 |
||||||
流動負債 |
803,718 |
未確定 |
|||||
未払い金 |
63,609 |
||||||
前受金 |
10,735 |
||||||
負担金 |
455,000 |
注1 | |||||
退職手当引当金 |
33,463 |
||||||
移転補償他 |
240,911 |
注2 | |||||
清算分配金 |
1,000,000 |
未確定(出資金) |
C | ||||
浜松市 |
450,000 |
||||||
株主 |
550,000 |
||||||
収支① |
▲1,408,216 |
||||||
浜松市入居保証金 |
▲1,006,016 |
注3 | |||||
浜松市敷金 |
▲402,200 |
注3 | |||||
収支② |
0 |
*①債権額は浜松都市開発㈱の平成20年3月末決算見込
*②土地等の売却価格はH20.1.1時点の不動産鑑定評価額
上記*印までが、配布資料の中味です。
「摘要」は当初から資料に入っていた記述です。
「備考」は以下の注釈のために付記したものです。
注1 取り壊し費用 約6.5億円の持分比(7/10)
注2 数字をあわせてあるだけ(増える可能性アリ)
注3 債権放棄の額
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私は財務や法務のプロではないので、間違っていたら、どなたか指摘して欲しいのですが・・・、
通常の株式会社の清算であれば、①まず持っている資産を売却して、債務の返済に充てます。そして、②債務返済の後、残った資産を出資者で分配します。
しかし今回の場合、①でマイナスが出ます。資産だけでは債務の返済ができません。
この場合、残った資産(A-B)の▲408,216円を、出資者が出資比率に応じて負担するのが一般的ではないでしょうか(「D」とします)。
もちろん資産がないので、株主の出資金「C」は返ってきません。
その手法ですと、浜松市の負担は、出資金の450,000千円(「C」)+183,697千円(「D」)=約633,700千円程度で済むのではないか・・・ということです。
市の計画(案)では、約14億円債権放棄しますが、出資金4.5億円は返ってくるので、実質負担は9.5億円と言えるのかもしれませんが、それでも市の負担は約3億円も少なく済みます。
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もちろん、出資会社各社は、出資金が返ってこないとなると、株主に対しての説明を求められるでしょう。
しかしそれは市も同じです。出資金よりも先に返されるべき債権(保証金や敷金)を放棄することを、市民に対してどう説明すればよいのか、私にはまだ判断できません。
財政健全化法が施行され、今後、第三セクターへの損失補償が“将来負担比率”として表面化します。それに伴い「第三セクター清算」はこれから日本各地で出てくるはずです。
現時点の清算基準は、5/12のブログに書いた「総務省指針改定」ではないでしょうか。今回の処理の仕方は「原則」を超える「例外」であり、「例外」としての理由が必要です。
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ひと言だけ言わせてください。
「グッ ジョブ!」 いや、
「エクセレント!」
投稿: 白あん | 2008年5月19日 (月) 23時49分
白あんさん、ブログをごらんいただきありがとうございます。
現在も、当局にはいくつかの質問をしてあります。回答があったら報告する予定です。
担当委員会は変わりますが、情報発信は続けていきますので、またご意見をお聞かせください。
投稿: 田口 章 | 2008年5月24日 (土) 06時54分
ISTSの秋山です。
建設委員会と行財政改革推進委員会になるんですね。すごく楽しみなのと、折角環境経済委員会で得られた知識が、次の人に伝達できないことに心配を感じています。
★議長が一年毎に替わるのも大問題です・・
ブログに書きました。市議の皆様に是非読んでいただきたいと思います。
http://atarashi.hamazo.tv/e1215293.html
★毎年委員会が変わることの弊害は市議の方はご存知のはずです・・
なんで、止めようという方がいないんでしょうか。
ではでは。
投稿: 秋山雅弘 | 2008年5月25日 (日) 20時58分
秋山さん、ご心配の件は会派の中でしっかりとお願いしていきたいと思います。
さて議長の任期についてのブログ拝見しました。
地方自治法103条2項には、「議長及び副議長の任期は、議員の任期による。」と書かれています。
したがって議長の任期は原則4年ということです。
では現実はどうかと言いますと、「全国市議会議長会」のHPによりますと・・・、
http://www.si-gichokai.jp/official/research/jittai18/pdf/h18_12.pdf
に記載のとおり、多くの自治体で「申し合わせ」というものをしています。
浜松市も「申し合わせ」により1年間としています。
なぜこうなっているのかについて、過去の経緯はわかりませんが、だいたい予想はつきますよね・・・。
1年任期が一般的ではないということはデータからも明らかです。おっしゃるとおり、今後の議会のあるべき姿や役割を考えたときには、「申し合わせ」の見直しも考えるべきだと思います。
こうした検討をするのは「議会運営委員会」です。ここが「議会改革」のカギを握っています。
ついでですが、「全国市議会議長会」のHPにはいろんな調査が載っています。私は“お気に入り”に入れてあります。
投稿: 田口 章 | 2008年5月27日 (火) 12時33分