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2008年7月31日 (木)

廃校の活用(7/31)

「学校規模適正化」が市政課題のひとつになっていますが、過疎化の進む天竜区では、現実的な話として、この取り組みが進み、それに伴い廃校が増えています。

今日、至誠会(新人議員の会)で、廃校の利活用状況について視察しました。

天竜区内には、幼稚園や分校を含め、21の廃校があるそうです。このうち比較的最近(H15年以降)廃校になったところは、小学校5校、中学校9校です。

今日の視察先はわずか4ヵ所ですが、「現状を見て、資産を有効に使う」という視点で調査しました。浜松市では今年度から、「ファシリティマネジメント(資産経営)」の取り組みを始めましたが、その実践に向けた有意義な視察でした。

総括的には、地理的に “売却” は困難なところが多く、地元の団体やNPOの活躍の場として利用されているところもありますが、有効活用するには、いろんな人が知恵を出し合う必要があると感じました。

その上で、「協働できるところはやる。そうでないところは維持管理費をかけない(解体)」というメリハリが必要だと感じました。

以下にいくつかの視察先を報告します。

★旧石神小学校(旧天竜市)

Tenryu_002昭和2年築 S44年廃校

旧石神小学校は有効活用されている事例のひとつです。

校舎は古い木造2階建。H2年から「天竜ウッドワーク事業協同組合(S61設立)」が使用しています。

Tenryu_008

家賃は月額1万円強とのこと。

地元ヒノキ材を中心に、学習机やイスを作っており、県内外に製品を供給しています。

累計の生産数は5万セット。最近は年間3000セット前後を生産しています。

Tenryu_010 価格は通常製品の3倍程度と高いようですが、耐久性や品質には自信があるとのことでした。

写真はオフィス用デスク(イスは中学校用)。「10万円」との声も聞きましたが、真偽のほどは・・・。

★旧上阿多古中学校(旧天竜市)

Tenryu_012 昭和55年築 H17年廃校

近隣にあった「公民館」が老朽化し、借地だったことから、現在、地元からの要望もあり、新「公民館」として利用されています。

もともとは3階建だったそうですが、耐震性能などを考慮し、2階建に改築したそうです。

Tenryu_014

上阿多古地区は、テニスの強い土地柄だったそうで、今も「テニスのまち」としてまちづくりを進めており、グラウンドはテニスコートとして使用していました。

公民館として利用するのは良いとして、もっと付帯施設を活かした使い方があるのでは・・・と感じた議員は多かったと思います。

★旧龍山北小学校(旧龍山村)

Tenryu_015 昭和35年築 H16年廃校

現在、利用されていません。

付近には、以前紹介した棚田等百選の「瀬尻の段々茶園」があります。

新市建設計画では、「若者が移り住んでもらえるような施設にする(定住環境整備事業)」とされていますが、ニーズがあるとは思えません。

近隣に教職員住宅(北遠地区への単身赴任用)があることから出た発想でしょうか・・・。しかしこの教職員住宅も空き部屋だらけだそうです。

旧龍山村はピーク時の人口は12000人でしたが、今は約1000人と、10分の1に減少しており、高齢化率は46.4%。天竜川から切り立った地形の斜面には34の集落が点在しており、現在、旧村に住む小学生は34人しかしません。

地域からは、「防災拠点として残してほしい」との要望がありますが、公共施設として維持するにはキビしい状態ではないでしょうか。

Tenryu_016 ちなみに付近には「森林文化会館」という、パイプオルガンを有した250人収容のホールを持つ、すばらしい施設があります。

3kmほど離れたところにある、旧龍山中学校も今年4月から閉校になったため、こちらもあわせて利活用手法を考える必要があります。

★旧佐久間中学校(旧佐久間町)

昭和37年築 H19年廃校  現在、使われていません。

佐久間中は、現在、佐久間高校と同じ敷地内で、一貫教育がおこなわれています。

旧佐久間中はJR飯田線 佐久間駅の南側に隣接しており、4階建の校舎と体育館、格技場、照明つきグラウンドを持っています。グラウンドは、今も、(高校の?)サッカー部が使っているとのことでした。

付近は、佐久間ダム関連の発電施設や、それにともなう従業員向け施設が多くあります。

地域住民からは「防災拠点として残してほしい」との声があるようですが、個人的には、3~400mくらい離れたところに「佐久間地域自治センター」があることから、非常時の防災施設として残すのは難しいのではないかと感じました。

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このほかにも、地域から要望が出されている施設や、NPOに無償で貸与を予定している施設などあります。しかし多くは利用予定がなく「倉庫代わり」に使っている状態です。

この地域は「三遠南信道」への期待が大きいのですが、人口減少で過疎化が進む中、施設をムダに置いておかない「資産経営」の考え方は大切ですね。

話は変わりますが、昼食時、「スローライフ」を求めて、定年後に名古屋からIターンしてきた老夫婦とお話しました。ご出身は四国と九州ということでしたが、終(つい)の棲家(すみか)に佐久間を選んだそうです。

過疎化の中、「田舎暮らし」のニーズがあることも実感しました。東京事務所などでこうしたニーズを的確につかむのも必要ですね。区長も「空き住居のデータベース化を進めたい」と話していましたが、こうした「都会のニーズ」や「都市部に住む人の考え方」も活かせば、まだまだ天竜区も活性化のネタはあると思います。

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