平成20年度決算速報(7/24)
昨日は視察に出ていたため議会に行きませんでしたが、こんな重要な発表があったとは・・・。うかつでした。
今朝の新聞には「実質収支は黒字」と書かれていましたが、財政担当が作った資料にはこう記載されています・・・
「一般会計の実質的な収支は73.7億円(⑲61.0億円)」
(注:⑲は19年度。以下同じ)。
「黒字」とは書いていませんが、マスコミのみなさんはわかりやすさ(?)のためか、「黒字」と書いちゃうんですね。
行政も民間企業同様、赤字にならないようにするのはあたりまえです。
民間企業では、事業が好調で利益が出れば、もちろん「黒字」と呼んでイイのですが、行政の収支残は「利益」ではありません。財政運営の結果、収支残が出たという事実だけであり、これを民間企業同様の「黒字」と認識するのは誤解のもとです。
決して「黒字だから浜松の財政はイイ」ということではありません。
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この「実質収支」の見方としては、「実質収支比率」という指標があります。
赤字は絶対ダメですが、単年度主義の原則「=その年度の“支出”はその年度の“収入”でまかなう(注)」からすれば、一般的には3~5%くらいが望ましいとされています。
計算式は、「実質収支÷標準財政規模」で求められます。
浜松市の標準財政規模は、財政課に聞いたところでは約1825億円ということですので、実質収支比率は4.0%となり、一般的には、標準的な予算執行だったといえます。
決算審査では「何でそんなに余ったんだ?」という質問もよくあるのですが、私は「必要な事業を、適切かつ効率的に行って、収支残が出た」のなら何ら問題ないと思います。
なお、上記(注)の逆「その年度の“収入”はその年度に“使う”」ことを、単年度主義と解釈すると、いわゆる「使いきり予算」的な発想になってしまいます。これをしっかりチェックする必要があります。
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なお、昨年度後半からの景気の影響で、法人市民税は平成19年度に比べ、26億円も減少しています(⑳162億円、⑲188億円)。今年度、来年度がさらに心配されますし、個人市民税への影響も不可避です。
今年度、法人市民税は25億円程度の「還付」が生じる見込みです。
法人市民税は、一部先払いする仕組みになっているため(「予定納税」といいます)、企業決算の急激な悪化により「還付金」が生じるのです。還付の際には利息を付けて返しますので、利息の額もバカにならないんじゃないでしょうか(利率はわかりませんが、仮に4%だと1億円ってことです)。
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その他、主なデータは・・・、
「財政力指数」は、3か年平均・単年度とも0.93(⑲はそれぞれ0.91と0.93)。
「経常収支比率」は、86.1と横ばい(⑲86.4)。この数字が高くなると財政が硬直化します。人員の適正化により人件費は減りましたが、扶助費(福祉のお金)の増や市税収入の減などで相殺されています。今後も扶助費の増が見込まれますので、引き続き行財政改革が不可欠です。
「市債残高」は、総会計ベースで113億円の削減。手堅い財政運営です。
ちなみに昨年度末からの推移は次の式となります「⑲残高-償還(返済)+借入=⑳残高」。数字を入れると・・・、
5493-540+427=5380億円 となります。
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書けばキリがありませんが、決算からはさまざまな課題が浮かび上がってきます。今後、少子高齢化の中での扶助費の増や、資産経営などが大きな財政課題になってくると思います。
いかにムダをなくし、最小の経費で最大のサービスを市民に提供できるか、効果的なお金の使い方をチェックしなければいけませんね。
昨年に続き、今年も決算審査特別委員会の委員をやる予定です(10/27・28・29の予定)。
外郭団体や補助金などを重点的にチェックしたいと思っています。
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