福岡市立病院機構(1/22)
★視察の目的 福岡市には「こども病院・感染症センター」と「市民病院」の2つの市立病院があります。これまで市直営で運営していましたが、22年4月から地方独立行政法人「福岡市立病院機構」に移管することになっています。 浜松市でも当初22年4月から地方独法に移管する計画でした。現在、このタイミングでの移管は困難な状況となっていますが、彼我の比較をすべく調査してきました。 ★福岡市立病院の状況 「こども病院」は昭和55年に開院しました(214床)。一般的に小児専門病院は都道府県が設置することが多く、市単位で持っているところは珍しいと思います。 事実、外来患者の43%、入院患者の53%は市外からの利用者だということですが、役割の重要性から市で運営し、市税の投入を行っています。「市民病院」は平成元年に旧「第一病院」を移転開院した総合病院です(200床)。 平成20年6月、今後の病院のあり方について「福岡市病院事業運営審議会」の答申を受け、市として21年3月に「経営改革プラン」を策定、地方独法移管の方針を立てました。福岡市の「病院事業会計」は、平成19年度は、一般会計から13.6億円を繰り入れしながら、7億円の欠損を出しています。また累積欠損金は47億円となっています。 ★移管の取り組み 平成20年度までは21年2月議会で「定款」、「評価委員会条例の制定」を議決するなど浜松市と同じようなスケジュールで進められていました。 ①中期目標と中期計画 平成21年度に入り、「設立準備委員会(独法移管後は理事会となる)」を設置し、開設準備を進めています。並行して市の付属機関としての「評価委員会」を設置し、「中期目標(案)」を検討しています。 なお中期目標は当面3年間とし、22年2月議会に提案予定とのことでした。「中期目標」議決後、独法は22.4の設立を受け、速やかに「中期計画(案)」を議会に提案予定とのことです。 ②人事等 事務部門など一部を除き、職員は独法移管後に身分切り替えとなることから、12月議会で「職員引継条例」を議決しています。また職員への説明会を4月から4回開催するとともに、毎月職員向け広報紙を発行しています。新たな人事評価制度について現在検討中とのことでした。なお独法プロパー職員となる22.4入社の看護師を100人採用しています。 浜松市は、市職員ではなく「医療公社」の職員が、そのまま移管されることから、これらの手続きは異なります。 ③財産継承 関係者間の協議で継承財産の範囲を検討し、資産評価を行い、12月議会で議決しています。退職給付引当金は37億円が必要となるようですが、資産は時価評価と負債の差益があり、開始貸借対照表の作成にあたり、浜松市のように追加での資本注入は必要ないとのことです。 ④経営改善 経営健全化策は「病院改革プラン」に基づいて検討していますが、具体的な取り組みは独法移管後となるようです。 ⑤総務省認可 独法認可申請は移管2か月前までとなっており、2月中に申請予定とのことでした。 ★浜松市との比較
移管に関して、職員の身分切り替え以外は浜松市とほぼ同じようなスケジュールで手続きを行っています。 上記のポイントのうち④は、浜松市では独法移管前の今年度から医療公社で経営健全化を進めている点について評価できます。 一方、浜松市では③が大きな課題となっており、退職金の44億円に加え、資産と負債の差損22億円と、2か月分のキャッシュフローに相当する資本金約20億円をいかに捻出するかが最大のテーマとなっています。 財源としては一般財源が基本となりますが、最大86億円もの一般財源投入は市財政へのインパクトが大変大きいため、独法化に対する懸念の声があることは事実です。 「第三セクター等改革推進債」の活用範囲の検討など、さまざまな手法について研究したいと思っています。 熊本市と鹿児島市の調査報告は後日アップ予定です。 19日に視察調査した福岡市の「市立2病院の地方独立行政法人化」について報告します。
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