静岡県議会2月定例会スタート(2/21)
県議会2月定例会が始まりました。
初日の今日は、午前中の「全員協議会」で部長から部門ごとの議案説明があり、午後開会した「本会議」で川勝知事から提案趣旨説明がありました。
最大のテーマは「平成24年度当初予算案」。「一般会計」で1兆1306億円、「特別会計」「企業会計」を加えた「総会計」で1兆6051億円となっています。
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知事の提案趣旨説明の主な内容は次のとおりです。
★基本方針
1.“ふじのくに”の早期実現をめざし5つの分野に重点化
(1)雇用対策(事業費439億円)
12月の有効求人倍率は0.68倍と改善傾向だが40ヵ月連続で1を下回る厳しい状態。大学生の就職内定率も11月末で60.2%と昨年を上回るものの低水準。「就職フェア」や雇用のミスマッチ解消事業に努める。
3万人の雇用創造を目標とした「雇用創造アクションプラン」に基づき、成長産業の育成や資金調達支援による経営力強化を行うほか就労支援による人材供給を進める。
(2)少子化対策(事業費127億円)
平成22年の出生率は1.54で、平成16年の1.37を底に回復基調だが、人口維持水準の2.07には程遠い状況。妊娠期の母親への相談支援体制の充実や、子育て支援への助成、子ども医療費の助成、待機児童の解消も進める。
(3)地震津波対策(事業費236億円)
県の津波対策は前倒しで実施。市町の津波対策への助成はこれまでの補助上減額を撤廃し拡充するなど積極的に支援する。
第4次地震被害想定は、国の調査に基づき、新たな災害要員の分析や被害予想を取りまとめ、来年6月を目途に策定する。
岩手県大槌町と山田町の災害廃棄物(ガレキ)受け入れは試験溶融の結果をすべて公表し、安全性を示すことで県民の理解が深まるものと期待。市町と連携しできる限りの協力をする。
(4)エネルギーの地産地消(事業費21億円)
太陽光発電設備の導入支援を制度を拡充するほか、農業用水路を活用した小水力発電導入も支援する。
(5)内陸フロンティアの魅力ある地域づくり(事業費41億円)
新東名高速開通にあわせIC付近の工業用地開発調査や観光交流の促進など新たな地域づくりを進める。
※これらの取り組みを「現場主義」で進めるため「移動知事室」を始める。
2.総合計画の着実な推進
(1)命を守る危機管理
・住宅耐震化の推進、防災通信ネットワークの構築など
(2)有徳の人づくり
・静岡式35人学級の拡充、県立大学での新たな研究拠点整備など
(3)憧れを呼ぶ“ふじのくに”づくり
・富士山世界文化遺産登録に向けた取り組み推進、観光交流の促進、地域外交推進、戦略物流ビジョンによるネットワーク形成など
(4)一流の「ものづくり」と「ものづかい」の創造
・新産業創出プロジェクトの推進、企業誘致の推進、食と農の改革の推進、「浜名湖花博10周年記念事業」の事業計画策定など
(5)「和」を尊重する暮らしの形成
・家・庭一体の住まいづくりの推進、野生鳥獣被害対策強化など
(6)安心の健康福祉の実現
・安心医療の提供と健康づくりの推進、障がい者の自律と社会参加への支援、いきいき長寿社会の実現など
(7)ヒト、モノ、地域を結ぶ基盤づくり
・都市基盤整備(草薙総合運動場・東部コンベンションセンター)、交通ネットワークビジョンの実現に向けた取り組み、森林・林業再生など
(8)安全な生活と交通の確保
・犯罪のおきにくい社会づくり、交通事故抑止対策など
※組織体制づくり
・「エネルギー政策課」の新設、少子化対策として「こども未来局」を改編
3.“ふじのくに”づくりに向けた行財政改革の推進
・外郭団体や出先機関等の改革、ファシリティマネジメントの導入、「教育行政のあり方検討会(仮称)」の設置など
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さて個人的に気になるのはやはり「県債残高」です。一般会計の県債発行額は前年比63億円増の705億円。これとは別に「臨時財政対策債」があり、前年比20億円増の1220億円です。
県が管理指標にしている「通常債」は平成23年度末見込の1兆8821億円から、平成24年度末には1兆8339億円に減る見込みですが、「臨時財政対策債」などを含めた一般会計全体では、2兆5499億円→2兆6105億円と増える見込みです。
「臨時財政対策債」は “役所の理論” では「県自らコントロールできないのでやむを得ない」ということですが、住民目線で見た時、本当にそれでよいのでしょうか。
私たちの家計や企業の会計は、普通「入るを以て出ずるを制す」です。行政はどうやら「出ずるを以て入るを制す」のようですが、身の丈にふさわしい歳出を心がけないといけません。県債管理は引き続き厳しくチェックしていきます。
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この他、平成23年度補正予算がありますが、こちらは大きな議論はなさそうです。
条例改正では「地域主権改革推進一括法」に基づくものが10件あります。内容はこれからチェックしますが、産業委員会への付託はありませんでした。
今議会の「民主党・ふじのくに県議団」の登壇者は次のとおりです。
2/27(月)代表質問 四本康久議員
2/29(水)一般質問 池谷晴一議員・田内浩之議員(初登壇!)
3/1(木) 田形誠議員(初登壇!)
3/2(金) 櫻町宏毅議員
3/5(月) 岡本護議員
常任委員会は、3/7・8・9・12の4日間となっており、たっぷり時間をかけて審議するようです。個人的にはこれまでの定例会では質問と答弁でおおむね1時間以内に収めていましたが、今回は存分にやれそうです。
本会議情報は下記の県議会のサイトをご覧ください。インターネット中継もあります。
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コメント
田口さま 東北ご出張終え、すぐに定例議会とのことで、大変お疲れ様でございます。毎々、丁寧な議案内容の説明や、数字のご提示ありがとうございます。さて改めて思うのが、行政単位として‘県’単位から‘道州制’への移行がやはりしっくりとするのではないかということであります。つまりは国の権限等を地方(=道・州)へ移譲し、人口規模1,000万人単位でキメ細かな行政サービスを実施していく。当然ながら、大規模都市の‘二重行政’も解消していくのあります。その中で、‘民の活力を削ぐ’弊害を極力除去することが、現状地方議会における課題なのではないでしょうか?即ち『今後の地方議会=地方議員の本分とは?』などと考えております。因みに、「県債残高」に対し、県の‘資産’はどの程度存在するものなのでしょうか?
投稿: 臼田丈晴 | 2012年2月21日 (火) 23時37分
臼田さん、さっそくのコメントありがとうございます。
私も「道州制」に魅力を感じているひとりですので、ご指摘の件はよくわかります。国・県・市町村をあわせた行政全体のトータルなムダの削減が必要です。
「資産」はバランスシートを見ることでわかりますが、決算ベースしかデータがないので平成22年度決算の数値をご紹介します。
「普通会計(一般会計+9特別会計)」の総資産は4兆2435億円。そのうち「金融資産」は6798億円、「非金融資産」は3兆5637億円となっています。
「非金融資産」は庁舎や校舎、県営住宅など「事業用資産(乱暴に言えば“売却可能”なもの・・・もちろん簡単には売れませんが)」が1兆2847億円。道路や橋、空港など「インフラ資産(売れないもの)」が2兆2764億円となっています。これまではこうした部分の把握が不十分でした。
「金融資産」のうちで最大のものは「基金」ですが、平成22年度末で4275億円です。
また最新データを見ると平成23年9月末時点で4269億円となっていますが、このうち2898億円は「県債償還」のための基金で、すでに県債残高からは相殺されています。
そのほかの基金にもさまざまな目的があることから、“活用可能な基金”は約253億円ほどしかありません。
借金の1%ですね。我が家の方がもうちょっとマシかも・・・^^
投稿: 田口 章 | 2012年2月22日 (水) 08時14分
田口さま さっそくのご回答ありがとうございます。参考にさせていただきます。実に田口さんのような存在が、県政を身近なものにしていると思います。これからも引き続き頑張ってください。田口さんを浜松の‘兄貴’と慕う臼田でした。
投稿: 臼田丈晴 | 2012年2月22日 (水) 21時53分
臼田さん、ありがとうございます。
コメントは私にとってとても勉強になります。
読者の皆さま、なんでもお気軽にお問い合わせください。
投稿: 田口 章 | 2012年2月22日 (水) 22時49分