予算からみる官民感覚の差
今議会に提出されている資料に「財政の中期見通し」があります。
★財政の中期見通し(静岡県のサイト)
この資料からはいろんな情報がうかがえます。
ケース1、ケース2とありますが、今の国の財政状況を考えると、ケース2はあまりに楽観的すぎますので、ケース1を基本に考えるべきでしょう。その上で試算結果を見ると・・・、
★まず「経常収支比率」の悪化が予想されています。P3とP10を合わせ見ると、平成15年度の87.3%から、平成28年度は95.7%にまで上昇する見込みです。
これは、人件費や借金の返済、社会保障のおカネなど「義務的経費」の比率が高まり、県が政策的に使えるおカネが減ることを意味しています。
社会保障は相互扶助ですが、「私たちの納める税金が私たちの生活向上のために使われていない」ということです。危機的水準です。
★「県債残高」については、ブログ読者のみなさまには“耳タコ”でしょうが、「通常債」は減っていますが、臨時財政対策債などを含めた「全体」では増えています。
県は、臨時財政対策債の発行を「県民に“必要なサービス”を提供するため」としていますが、私たちも“身の丈”に合った生活に改める必要があるのではないでしょうか。
ついでに言えば、これは「一般会計」だけですので、「総会計」ベースではさらに額は増えます。「総会計」ベースの県債残高は予算資料には全く示されていません。こうした感覚が、私には“甘い”と感じられてなりません。
★「財源不足額」が毎年400億円ほどと見込まれています。
民間企業なら、わかった瞬間に400億円のコストダウンに取り組みますよね。行政にはこうした感覚がありません。
たとえば「時間外手当」。予算書(ネットでは公表されていません)によると、23年度予算が63億円で、24年度当初もほぼ同額を見込んでいます。民間なら「業務効率化を進めて時間外を減らそう」というのが当たり前の感覚ではないでしょうか。
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たまたまですが、県債の「利子」も年間約400億円を見込んでいます。(ムリは承知ですが)借金がなければおカネは浮くんですよね(逆に金利が上昇すると恐ろしいことになります)。
余談ながら、ここでも面白い(?)数字があります。
今回提案されている「一般会計予算案」は、第1条「歳入歳出予算」、第2条「債務負担行為」、第3条「県債」、第4条「一時借入金」、第5条「歳出予算の流用」からなっていますが、このうちの第3条を見て驚きました。
県債の「利率(利子)10.0%以内」という欄があるんですね~。
いまどき、10%の金利を払って資金調達する企業がありますかね?
もちろん、実質的には、5年債で約0.4%、30年債で約2.1%ほどで調達しているんですが、いったい何年前から同じ数字を使っているんだろうか…と、県の感覚を疑ってしまいました。
ちなみに浜松市は4.5%。当時は、これでも「十分高い」と当局に食ってかかっていたのですが、今回は呆れてしまいました。
「意識改革ができていない」というのが、こういうところにも表れています。