おじいちゃんおばあちゃんからのプレゼント(8/8)
今日も研修。講師は関西学院大学専門職大学院の石原教授。氏は地方制度調査会のメンバーで公認会計士です。
本来のテーマとは異なるのですが、今日最も参考になったのは、バランスシートの見方でした。
公会計改革が進む中、自治体でも財務諸表を公表するケースが増えています。しかし調査によるとそれを活用している自治体は非常に少ないのが現状です。
そんな中、今日の研修で「議員の中に“こどもへのツケ”を減らせという議員はいるが、そこだけ見ていたのでは不十分だ」、「“おじいちゃんおばあちゃんからのプレゼント”がどれだけあるかわかっているか?」と聞かれました。「細かいところでなく、全体から問題をとらえないといけない」との指摘もいただきました。
昨日のブログで「こどもへのツケ」のことを書いたばかりですが、“プレゼント”について調べてみました。
資料のP29(35枚目)に連結貸借対照表があります。
“こどもへのツケ”は「負債」のうち、流動・非流動負債の「地方債」と「借入金」が該当しますので、2兆9557億円ということがわかります。
ただその中には後世代の受益資産(インフラ施設など)もありますので、講師は「すべてを“ツケ”というのは不適切」とも言います。
そうすると「建設債」はむしろ健全で、まさに「臨時財政対策債」のような借金にこそ問題があるということになります。
一方、“プレゼント”は「純資産」の「税収(1693億円)」があたります。また地方交付税や国からの支出金である「移転収入(1092億円)」も財源は国民の税金なのでこれも広義の“プレゼント”と言ってよいでしょう。
「開始時未分析残高(1兆4515億円)」は、おそらく開始貸借対照表を作る際の算出不能な差額でしょうが、これもほぼ“プレゼント”と言えると思います。
静岡県は3兆円近いツケ(とんでもない水準!)がありますが、これまでの世代から受け継いだ資産もあります。そうした感謝も忘れてはいけません(不要なものもあるかもしれませんが…)。
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このように貸借対照表にはいろんな情報があるのですが、「財源(△1534億円)」や「その他の財源の調達(△1239億円)」、「その他の純資産(△351億円)」など、私にはまだよく科目の意味がわかりません。
投入された財源がプラス表示されますから、マイナス表示は今後投入される税金の“先食い”とも考えられます。3000億円を超える“先食い”だとすれば、相当な財源捻出に取り組まねばなりません。今日の講師はその点をしっかり分析する必要性を述べていました。
この他、「ファシリティマネジメント(FM)」に必要な考え方を指摘されました。
ただ「FM」を進めるのでなく、「資産の適正化目標」すなわち「資産をどのくらい減らすか」を明確にして取り組むべきと言います。これにも財務諸表が活用できます。
すなわち、連結貸借対照表の「非金融資産合計(4兆3080億円)」を、廃止・売却によりどのくらいの規模に減らすかを算定する必要があるということです。非常に難しい作業ですが、目標なく「FM」を進めても意味はないということでしょう。
インフラ資産の廃止によるサービス低下は不可避ですが、強い意志を持って「全体最適」を進める必要があります。
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