平成25年度の地方財政の課題(10/29)
ちょっと古い話題ですが、10/15に静岡県の「平成25年度当初予算編成要領」が示されました。
★平成25年度当初予算編成要領等(静岡県)
これによると来年度は370億円の財源不足が予想されており、その穴埋めのため、①基金の活用240億円、②歳出のスリム化80億円、③歳入確保50億円が「当初予算編成に向けた取り組み」として挙げられています。
①基金残高は、平成23年度末で313億円。今年度97億円を確保していますが、さらに今後80億円の歳出削減により、今年度末で490億円を見込んでいます。
②歳出のスリム化は、各部局ごとに補助金や内部管理経費の見直しなど、義務的経費等を除く経費のスクラップ・アンド・ビルドを積極的に進めるとしています。
③歳入確保は、県税の徴収強化、特定目的基金の活用、県債の活用などとしています。
ん? 「歳入確保」で「県債の活用」?
私にはこういう感覚がわからないんですよね。
県税の徴収強化は公平性の観点からも当然です。また他にも歳入確保の手段はたくさんあります。
私たちの家計だったら、借金をしなくてもいいように、まず、支出を削減するのではないでしょうかね…。また家族みんなで協力してパートやバイトに精を出すとか…。
安易に借金に頼るところは、あいかわらず県は「思考停止」状態のようです。
370億円の財源不足の段階ですら、県債発行額は下記のとおり増えています。
通常の県債 24年当初予算704億円 25年度見込730億円 (+26億円)
臨時財政対策債 24年度当初1220億円 25年度見込1337億円 (+117億円)
「安易な借金だのみ」。この構造を変えないといけません。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
この当初予算の試算値は、総務省の「地方財政収支の仮試算」をベースに計算しています。
★平成25年度の地方財政の課題(総務省)
これを見ると臨時財政対策債は6.2%の増を見込んでいます。「どうぞ借金をしてください」と国が言っているようなものです。
臨時財政対策債は、地方交付税交付金の財源が確保できないため増加を見込んでいるようです。
しかし、国全体の臨時財政対策債の発行残高は、今年度末で40兆円を超えるといわれています。
このまま地方交付税の財源である「所得税・法人税・消費税・酒税・たばこ税」が増えないと、臨財債はますます増えることになります。
地方交付税や臨財債は「基準財政需要額」を元に算定されますが、ここを身の丈に合った水準にしない限り、借金は増え続けることになります。国政ではこんなことは全く話題になっていないと思いますが、このままでイイとは思えません。
地方自治体の借金が増えるのは国の不作為でもあります。
国の財政課題は「特例公債法案」だけではありません。
« 決算審査と行政評価(10/28) | トップページ | 次の、日本。(10/30) »
コメント