静岡空港の経営健全策(12/10)
静岡県では、富士山静岡空港の経営改善について、外部の有識者(経営者や大学教授等)による「先導的空港経営検討会議」を設置しており、来春、知事に答申を提出する予定です。11月末には第3回目の会議が開催され、空港のあるべき姿やその実現方策、県として取り組むべき事項などが議論されました。
富士山静岡空港は、滑走路や駐機場などの「空港基本施設」は静岡県が設置し、「旅客ターミナルビル」は民間企業である「富士山静岡空港㈱(以下、空港㈱)」が経営しています。
「空港㈱」は静岡銀行や鈴与、時之栖、ヤマハ、スズキなど県内の民間企業13社と牧之原市が出資している会社で、よくある“第3セクター”とは異なります。
空港ターミナルビルを建設・所有し、現在はレストラン、ショップなどを運営するほか、空港基本施設の指定管理者として管理運営を行っています。民間ならではの創意工夫で、開業2年目の平成22年度から黒字経営となっています。(H23年度の営業利益は約2億円)。
一方、県が運営している「基本施設」は深刻な赤字です。過日、報道されましたが、平成23年度の運営赤字(営業損益)は▲約5.4億円となりました。なお企業会計の考え方を導入して計算した場合、空港施設の減価償却費を含め営業損益は▲約15億円、経常損益は▲約17億円となります。
収入では特に着陸料の減収が▲約1億円と大きくなっていますが、これは定期便の減や震災以降の国際線の減便の他、国内線の維持拡大のため政策的に着陸料を軽減したことが主な要因です。
実際の公会計上には減価償却費は計上されていませんが、約5.4億円の赤字補てんには、私たちが収める税金が投入されています。
こうした状況を踏まえ「空港㈱」から、できるだけ税金投入をしなくても済むように、今年3月に提言が出されました。その骨子は次のとおりです。
①県は、現在の空港㈱の全株式を譲り受け「空港ターミナルビル」を所有する
②県は、既に所有の「基本施設」等に「空港ターミナルビル」を加え、一体的な運営ができるよう空港㈱の定款を変更する
③県は、一体となった空港施設の“運営権”を民間事業者(定款変更後の空港㈱等)に譲渡し、県の意向を反映した一体的な運営をゆだねる
この提言を受けて、第3回会議では3つの経営パターンを検討しています。
<ケース1>空港㈱がビルを増改築。将来的に同社に運営権(コンセッション)を譲渡
<ケース2>県がビルを所有し、自ら増改築した後、コンセッション方式を導入
<ケース3>県がビルを所有し、PFIで増改築。PFI事業者に運営権を譲渡
会議資料にはそれぞれのステップと課題が示されていますが、一読しただけでは相当難解です。
来春の答申に向けて議論が加速しますので、こっちも遅れずに勉強しなきゃいけません。この件はまた報告します。やるべきことはたくさんあります。
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