浜岡原発の地震津波対策(4/22)
静岡県議会「原発・総合エネルギー対策議員連盟」のメンバー28人で浜岡原発を視察。主に津波対策の進捗状況をチェックしました。
施設内に入るのは会派で視察して以来2年ぶり。この間、原子力館には何度か行き、展望台から防波壁の状況などを見ていましたが、久しぶりに間近に見せていただきました。
当初の計画策定以降、南海トラフ巨大地震のシミュレーションが示されたことから、かなりの追加対策が必要となり、工事完了が延びています。
◆敷地内の浸水対策としては次の2つを実施中です。
当初計画の海抜18mの“防波壁”は、1.6kmの海岸線にほぼ設置ができており、現在は細部の付帯工事を実施していました。
今後は追加対策として年内をメドに、さらに4mのかさ上げ工事が予定されています。あわせて施設西側の新野川や東側の盛土もかさ上げを行います。
また海水による冷却機能を確保するため、海水取水ポンプのまわりに1.5mの“防水壁”を設置しましたが、これも年内に3mに引き上げ予定です。
◆建屋の浸水対策としては、潜水艦の技術を応用して外壁扉の水密性を高めています。また海水取水ポンプのバックアップとして“緊急時海水取水設備”を設置しています。
◆緊急時の電源対策として、後背地の高さ40mの高台に“ガスタービン発電機”を設置中でした。さらに冷却水確保策として高さ30mのところに貯水槽を造成中です。
これらの施設を2時間強で視察しましたが、正直もっとじっくり見たかったですね。“安全”確保への努力はうかがえますが、さりとて、県民の“安心”を得るには、まだまだ至っていないと感じます。
関心のある方は、下記の中部電力のサイトをご覧ください。
川勝平太知事が今日の定例記者会見で正式に出馬表明を行いました。ミニ統一地方選挙が終わったばかりですが、知事選に向けて熱い闘いが始まります。
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前略
お世話になります。
現在、「防災・減災社会の構築」を主軸に講義・講演中です。
「避難所トリアージについて」
必ず起こる南海トラフ巨大地震は、全国の死者最大32万人超に達します。この地震を前にして、大被害を免れ得ないとしたら、私たちは何にどう備えればよいのでしょうか。今回、「避難所トリアージ(フランス語で選別)」が提唱されましたが、何時、誰が、どのように行うのかという具体策が示されていません。そもそも実現性自体が疑わしい。仮に自治体に運用を委ねても、庁舎や職員に大きな被害が出て機能不全に陥ったときはどうするのか。それでも避難所の混乱を回避するためには、在宅避難のほか空き家・空き室の制度的活用という選択肢がありますが、その場合は食料・水や衛生用品などの備えが必要です。最終報告は1週間以上持ちこたえる家庭備蓄を求めています。しかし、これも掛け声倒れでは困ります。1週間の備蓄といっても、一般市民にはまだ切迫感がないのが実情です。あらかじめ用意する救援物資と考えれば、無償配布や公費による購入補助も今後検討されていいのではないでしょうか。
最終報告はすべてを「公助」には頼れない、と読み取れます。これからの減災対策は、ハード面だけではなく、ソフト面のレジリエンス(resilience=復元力、回復力)が必要です。それは「被災した生活のリズムを、集団としていち早く取戻す能力」です。従来型の「三助の法則:自助7・共助2・公助1」は、「公助」の言訳、「共助」の自己満足、「自助」の無策でした。しかし「公助」が「自助」を支えることにもつながるはずです。災害対策は、ハードだけの公助であってはなりません。防災学習や防災を担う人材の育成に力を入れることも大切であり、こうした部分にこそ自助を育てる公助が必要ではないでしょうか。
減災社会の構築(build a society mitigation)は、机上の空論(原理・原則)に終始せず、「百閒は一見に如かず」を再生させ、予想と実践と交互に繰り返して、その都度予想の間違いを修正しながら整合性のある理解を積み重ねて、過去の教訓を学び最新の知見等を踏まえて、防災リテラシー(災害から生命・財産を護る対策)を具体化(見える化)することです。関東大震災の「不意の地震に不断の用意」の標語は、巨大地震から90年経つ現在も色あせていません。
私は自戒し日々研鑽を重ねより一層鋭意努めて参ります。ご指導ご鞭撻賜りますようお願い申し上げます。 尾下拝
防災危機管理研究所(所長:尾下義男)
投稿: 尾下義男 | 2013年6月16日 (日) 05時21分