2024年11月26日 (火)

歳出・歳入の見直しに関する提言

康友知事に「令和7年度当初予算に向けた 歳出・歳入の見直しに関する提言」を提出しました。

知事には「釈迦に説法」ではありますが、知事がやろうとしている財政健全化を議会として後押ししたいと考えています。

★歳出・歳入の見直しに関する提言(PDF)

PDFデータをご覧いただければと思いますが、ポイントは5つです。

1-(1).まずは文字どおり「歳出の見直し」と「歳入の確保」の徹底です。

歳出の見直しに必要な観点は「3E・・・経済性(Economy)、効率性(Efficiency)、有効性(Effectiveness)」です。

これは監査の基本でもありますが、「経済性」は無駄はないか、安くできないか、「効率性」は他にもっと良い方法はないか、「有効性」はその事業は県の目的に合っているか、という観点でチェックすることです。

行政は往々にして、これまでやってきたことを同じようにやりがちです。時代の変化や技術革新などを踏まえ、事業の進め方も変えていく必要があります。

「歳入の確保」は、これまでもネーミングライツの導入を提言していましたが全く進んでいません。このほかふるさと納税など寄附金の活用や、民間事業者の協力など外部資金の活用(例・・・SOCIAL X)、未利用資産の売却などがあります。

1-(2).予算計上の適正化は、適正額を計上しているか?余裕を見ていないか・・・ということです。

財政に余裕はありません。しかし決算審査をやっていると当初予算額に対して執行率が極めて少ないものがあります。

本当に必要な事業か、必要だが制度が悪いのか、こうしたチェックも必要です。

1-(3).事務の効率化は、ちょっとした工夫です。

先日も私のところに、メールで済むのに角2封筒で送られてきた郵送物(会議の案内)がありました。漫然と事務をやっているとしか考えられません。意識の問題です。(当然、スグ指摘しました)

2.プロジェクト事業については、将来の種まきとして必要であることは否定しません。

一方、時間の経過とともに止めてもよいものもあります。新たにプロジェクトを進めるのであれば、既存のプロジェクトの終期を明示すべきです。

また内容によって、その事業は本当に県がやるべきものなのか・・・を考慮する必要もあります。本来、国や大学研究機関がやるような事業への助成は、財政が厳しい中、使い方はよくよく考えるべきです。

3.県債のことに触れています。

私は県債がすべて「悪」とは考えていません。家庭でも家やクルマをローンで買うように、資産形成を伴い後年度も活用できるものの県債発行はある程度やむを得ません。

「資金手当債」についても記載しました。これは資産の形成を伴わない起債を含みます。これはスジが悪いです。こうした将来世代にツケを回す財源調達は止めるべきです。

康友知事は10月に示した財政収支で「プライマリーバランス」の黒字化に触れています。簡単に言えば「新たな借金 < 返済額」であれば県債残高は減ります。

4.「中期財政計画」を作るよう求めています。

これまで県は「財政見通し」は示していました。どう違うのか?というと「見通し」は“なりゆき”、「計画」は“意思が入る”ということです。

計画を作り、意思をもって財政健全化を進めるべきです。

5.ファシリティマネジメントは私が県議になった13年前に提案しましたが、まだ全く不十分です。

公共施設等総合管理計画の削減目標は15%ですが、県の人口が2007年ピーク時の380万人から2050年には282万人に▲25%も減ることを考えると、25%くらいを目標設定しないと、納税者の財政負担は大きくなる一方です。こうしたバックキャスティング型の政策形成が必要です。

12/12に、次回の予算ヒアリングを行います。その時までにどのくらい改善案が出されるか、注目しています。

Yasutomo1

2018年4月 1日 (日)

行政経営革新プログラム

Gsr750 人口減少・少子高齢化はさらに進みます。労働力人口が減る中、社会保障関係費とインフラ施設の維持管理費はますます増加が見込まれます。

これらを踏まえ県は、今後の新しい行財政改革推進プランとして「行政経営革新プログラム」を策定しました。

★行政経営革新プログラム(県のサイト)

「現場に立脚した生産性の高い行政経営」を方針に掲げ「県民参画の促進」「民間・市町・地域との連携協働」や「健全な財政運営」「効果的な事務執行」などに取り組むこととしています。構成は次のとおりです。

Ⅰ 現場に立脚した施策の構築・推進

 (1)戦略的な情報発信と透明性の向上

    ①県政への関心を高める行政情報の提供

    ②県政への信頼性の向上

 (2)県民参画の促進

    ①県民の声の把握と反映

    ②県民参画による施策推進

 (3)民間・市町・地域との連携・協働

    ①民間との協働による県民サービスの向上

    ②広域連携による地域課題の解決

    ③規制改革の推進

Ⅱ 生産性の高い持続可能な行財政運営

 (1)最適な組織運営と人材の活性化

    ①政策の推進に向けた体制整備

    ②働きがいを生み出す働き方改革の推進

    ③人材育成の推進

 (2)健全な財政運営の健司と最適かつ効果的な事業執行

    ①将来にわたって安心な財政運営の堅持

    ②県有資産の最適化

    ③最適かつ効果的な事業執行

 (3)ICT等の革新的技術の利活用による業務革新

    ①新世代ICT等の導入・利活用の推進

概要版に「重点取組」として3つ挙げていますが、私の感覚は違います。

中でも重要なのは、Ⅱ-(2)とⅠ-(3)、そしてⅡ-(1)-③です。

Ⅱ-(2)によって、持続可能な自治体経営を数値でチェックし、Ⅰ-(3)を具体的に進めることで県全体の定員適正化を進める。それらを支える県全体の人材育成といったロジックかと。

成果指標はちょっと“総花”過ぎ。各部門でいろいろやるのはイイのですが、行革セクションで管理すべき項目と、部門で管理すべき項目が混在しています。全庁の行革を推進するセクションは、個別の管理よりも全体の進捗をチェックすべきです。

私はこれまでも「全体最適」や「広域連携」、「公会計改革」などに取り組んできましたが、引き続き「公会計の活用」や「共創(Co-creation)」など先進事例の調査研究を進め、引き続き将来を見すえた行財政改革を提言していきます。

【写真:半年ぶりのお散歩 with GSR750】

2018年3月31日 (土)

行政経営研究会の成果

国-都道府県-市町村と三層構造になっている政治システムの中、県の役割は何か…は大きなテーマです。

私はその一つとして「全体最適化(広域的なサービス提供体制の最適化)」があると考えます。

これは県議になって間もなく感じたことで、それぞれの市町の「部分最適」でなく、広域調整によりさらにサービス向上やコスト削減効果を発揮すべきだと考えています。

また会派として、国内でも初めてといわれる「権限移譲の実態調査」を行い、全体最適化を進めてきました。

★権限移譲に関する提言(H26.12ブログ)

その中で、行政の対応として注目してきたのが、この「行政経営研究会」です。

H26年度、県は市町との連携により住民のために最適な行政経営を展開するため、共通して抱える行政課題の解決に向けて取り組む実践的な組織として「行政経営研究会」を設置しました。

今回、これまで4年間の取組成果を取りまとめ公表しました。

★行政経営研究会実績報告書

35市町それぞれに温度差がありなかなか成果が見えにくいですが、将来の人口減少や財政負担を考えれば、いずれはすべての自治体が理解してくれると思っています。

今が良ければ…ではダメ。次世代の幸せを考えることが政治の役割です。

2017年8月26日 (土)

民間出身議員から見た公会計情報の活用

Cipfa1 浜松市で「CIPFA Japan 中部部会 第1回 セミナー」が開催されました。

CIPFA Japan については下記のリンク先をご覧ください。

★CIPFA Japan

怪しげな名称ですが、なかなかの組織なのです。

縁あってこの会員になっています。代表者は 石原 俊彦 関西学院大学大学院教授。お話によると手弁当・持ち出しで会を運営しているようで申し訳ないのですが、志の高い自治体職員や議員が集っています。

全国規模の組織で会員は500人を超えたとか。年に数回、関西学院大学やその他自治体を舞台に、全国規模の研修会を開催しています。

今回、初めて地方単位での研修会を開催しました。しかも浜松で。

浜松在住会員は2人しかおらず、もうひとりで言いだしっぺの常葉大学経営学部の ★酒井 大策 講師から、「田口さん、何かしゃべってください・・・」とのリクエスト。

志の高い参加者が多いので「釈迦に説法」と思いつつも、10年前、初めて議員になったときのことなども思いだし、表題のタイトルで約40分ほどのお話をしました。

もちろん「公会計情報の活用」と言っても、私は学者でも公認会計士でもないので、テクニカルな話はできません。ただ民間企業での経験などから、「おカネに対する意識の違い」、「ベンチマークの大切さ」、「ストック情報の活用」などをお話させていただくと同時に、県で進めている「行政経営研究会」の取り組みなどを紹介しました。

またちょうど県で総合計画策定を進めていることから、それへの活用の可能性などについても、期待を込めてお話ししました(実務者ではないので難しさはあるとは思いますが・・・)。

当日使用したパワーポイントの資料に、一部説明を加筆したものを備忘録的にアップします。

★パワーポイント資料 (PDF)

質疑応答では他の自治体議員さんから「総合計画策定時に将来の予想貸借対照表を作ってはどうか」とのご提案をいただきました。私も同感です。セグメントごとのB/S作れないかな・・・。

2017年3月22日 (水)

トヨタ生産方式を自治体に導入

20170322_190617 福島県内視察2日目。午前中は伊達市を訪問。「DTI」の取組を聞きました。

いきなりですがクイズです。

伊達市は日本に2つあります。もう一つは北海道伊達市ですが、こんなケースは珍しいですよね。

ちなみに同名の市はもうひとつありますがどこでしょうか?(答は最下段)

Dsc_4290 福島県伊達市は仙台藩伊達家の発祥の地だとのこと。写真のキャラクターが市役所入口でデンと迎えてくれました。

「政宗ダテニクル」というアニメのキャラだそうでYouTubeで見ることができるようです。いろんな地域おこしがあるもんですね~^^;

★政宗ダテニクル(伊達市のサイト)

さて本題の「DTI」。トヨタ生産方式(以下TPS)を導入した改善活動で「DATE TASK INNOVATION」の略称です。

この取組も昨日同様、「行革甲子園」で知りました。伊達市の取組は優秀事例として当日発表され、レセプションで職員さんとお話させていただいており、ぜひ伺いたいと思っていたところでした。

導入は就任前に民間企業の工場長としてTPSによる改善業務に携わっていた市長の強いリーダーシップによるもので、TPSに精通したコンサルタントに定期的に指導を受けているとのこと。“現場実査”もやっています。

「5S」ならぬ「3S5T」で職場もキレイです。3Sは「整理・整頓・清掃」、5Tは「定位・定品・定量・定路・定色」で、5Tは整頓のルールと言えそうです。

また係単位で「業務洗出し表」を作成し、事務事業を細分化し事務単位での工数を把握しています。ここまでやるのはなかなかのものかと…。静岡県もH11年頃(?)から「業務棚卸表」を作っていましたが、いまでは事務事業単位で工数もエエカゲンになっています。

さらにこの「業務洗出し表」を分析し「作業手順書」を作成、業務のムダをなくしています。

ここまでやるのは外部人材がいればこそですね。職員だけではなかなかこうはいかないでしょう。この徹底が「DTI」のすごいところです。

静岡県も外部人材のアドバイスをもらって働き方改革を進めるべきですね。

午後は福島県庁で「震災復旧復興事業」の概要や避難者支援、福島第一原発の状況、広域避難計画などについてうかがいました。ボリュームたっぷりでまとめきれません。

とりあえず資料をご紹介します。

★ふくしま復興ステーション

明日は南相馬市へ行きます。

【冒頭クイズの答 府中市(東京都と広島県)】

2017年3月21日 (火)

ビジネスプロセス・リエンジニアリング(BPR)

20170321_180445

議会が閉会したので早速来年度の取組に向け視察に出ています。今日は福島県郡山市を訪問。ビジネスプロセス・リエンジニアリング(BPR)の取組をヒアリングしました。

BPRは事業目的達成のための手段を最適化することです(詳しい説明は検索してご覧ください)。

県庁でいえば県民サービス最適化のために業務を見直すことで、私は特に県民サービスに直結しない庁内業務を見直すべきだと思っています。

郡山市の取組を知ったのは、昨年11月の「行革甲子園」です。当日発表はありませんでしたが、愛媛県のHPで資料を拝見したのがきっかけです(★愛媛県行革甲子園2016)。

現在、「働き方改革」とか「ワーク・ライフ・バランス」が取り上げられていますが、そのための実務的手法と言ってよいと思います。

すなわち、自分たちの業務プロセスを見える化して評価し、ネックとなっている工程や重複している工程を簡素化するということです。民間企業のカイゼンに近い考え方で取り組んでいました。

郡山市は特に「庁内共通の業務」にスポットを当て、例えば庁内会議の見直し、庁内研修会・セミナーの見直し、また部門間の照会事項の見直し等に取り組んでいます。これらによって間接業務の削減を図り、各課の本来業務に取り組む時間のウエイトを高くしようということです。

この結果をもとに、まさに今日「郡山市STANDARD」という方針を公表したとのこと(写真)。外部者で初めて拝見することができました。

このほか課題としては「PDCA」や「歳入歳出」の業務量が挙げられていましたが、これらは継続して検討していくとのこと。「PDCA」は私も複雑化していると懸念していますので今後の取組を見させていただこうと思います。

ところで「庁内共通の業務」で最も時間を要する業務は何だと思います?こたえは「議会対応」とのこと。“民主主義のコスト”とはいうものの耳が痛いところです。

なかなか面白い取り組みでした。

2016年12月24日 (土)

財政認識の共有化と県民参加(一般質問1-⑥)

<質問>

人口減少社会を迎え、財政はますます厳しくなる。県民に、現実を知ってもらうためには、適切な情報公開が必要。県はHPで財務情報を公開しているが分かりづらい。行財政改革大綱では「県民参加」をうたっているが、財政危機意識を県民と共有化し理解を深めるべき。

<答弁・伊藤経営管理部長>

国や県の財政が一段と厳しさを増す中、財政状況を県民の皆様に一層のご理解をいただくことは極めて重要。次期行財政改革大綱の策定に向け、出前講座の活用など具体的な方策を検討し実行するなど、持続的な財政運営を図るための経済性のあり方について共通認識をもって進められるよう県民参加の推進に努める。

市町との連携による公共施設の資産経営(一般質問1-⑤)

<質問>

統一的な基準による地方公会計の導入により、固定資産台帳が整備される。また県内全市町で「公共施設等総合管理計画」が策定される。公共施設データの可視化、共有化を進め、県と市町また市町どうしが連携し、施設の統廃合などの取り組みに着手すべき。

<答弁・伊藤経営管理部長>

公共施設の資産経営は各自治体が自らの施設で取り組むことが基本。その上で類似施設等の最適化を図る等広域的な連携が重要になる。施設情報や資産経営に関する取組の共有化は、将来的に自治体の枠を超えた公共施設の最適配置検討など総量適正化の議論の素地となるため、引き続き、ファシリティマネジメント研究会で推進していく。

統一的な基準による地方公会計の活用(一般質問1-④)

<質問>

公会計改革についてはこれまでも活用方法が課題とされてきた。今後、他団体との比較が可能になり、県内市町の財務状況が俯瞰できるようになる。県内市町とともに、新制度の活用を推進していくべき。

<答弁・森政策企画部長>

新たに導入する地方公会計を予算編成等に有効活用し、行政サービスの効率化や公共施設の最適化等に賢く使うことは重要で、県内市町とともに積極的な活用を推進していく必要がある。県では財務諸表の知識や新制度の理解を深めるため研修会を開催し、市町と連携し新制度の積極的な活用を推進する。

定員管理(一般質問1-③)

<質問>

行財政改革大綱の見直しでは、職員定数の指標(定数削減)をなくし、総労働時間の管理に置き換えることを議論しているが、現在「事業の廃止」を進めており、指標をなくすべきではない。

<答弁・伊藤経営管理部長>

平成9年度から28年度の20年間で1472人の職員を削減したが、ここ数年、時間外勤務が右肩上がりで増加し、職員の削減が行政コストの削減につながっていない。今年度、全業務廃止を含めた見直しを行い上半期の時間外は減少した。行財政改革大綱では「職員削減数」を改め「総労働時間の抑制」を新たな指標とすることを予定している。

<再質問>

定員管理の旗を降ろすのは行革の後退につながりかねない。これから先を見すえてやる必要がある。

<再答弁>

業務、事業を見直す中でまずは職員の過重労働を解消し、めどがついたら定員管理について削減目標についてあり方を検討したい。

<意見> 将来のことを考えれば、旗を降ろすべきではないということを強く言っておく。

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